千代田顕微鏡 MT-B型のコンデンサ、フヨウとクジャクソウの花粉

MT-B型顕微鏡には、特殊なコンデンサが付いています。使い方に自信のない愛用者の方がいらっしゃいましたら参考にしてください。
私自身、今まで適当に使っていましたが、「千代田顕微鏡の歴史」のSさんが正しい使い方と顕微鏡の仕様を教えてくださり、それをまとめたものです。
MT-B型顕微鏡おもな仕様

超広視野三眼鏡筒:ジーデントップ型
視野数26.5、倍率1倍、直立筒0.66倍
非金属多層膜方式ビームスプリッタープリズム 50:50内蔵
接眼レンズ:KW10×W
対物レンズ:plan 1、2、4、10、20、40、60×
超広視野コンデンサ(SWAC Ⅳ):NA0.90、4群6枚
下玉はねのけ方式で対物 1~100倍まで使用可能
超広視野コレクター:NA0.61、3群5枚、焦点距離 17.7mm
色補正アポクロマート、フォーカシングつまみつき
ランプ:6V5A 扁平巻、超広視野特殊タイプ
レボルバー:7孔レボルバー高精度ベアリング組込

コンデンサ
顕微鏡からコンデンサを取り外した様子です。
ステージに差し込む主コンデンサと可動式の補助コンデンサ(SW.AC.0.9の刻印のあるレンズ部分)からなります。

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コンデンサの使い方
対物レンズの倍率に応じて次の組み合わせで使用します。
1、2×(対物レンズ)・・・コンデンサ 主+コレクター 主
(補助コンデンサ、補助コレクターを使わない)

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4×(対物レンズ)・・・コンデンサ 主+コレクター 主+補助
(補助コンデンサを使わない)

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10×以上(対物レンズ)・・・コンデンサ 主+補助+コレクター 主+補助

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ランプ側調整ノブ(ランプハウス手前にある白い棒)
・・・対物レンズ1~4倍までは上へ。10×以上では、下げた状態で観察する。(ノブの上下で光源の焦点が変わる。)

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1~4×(対物レンズ)・・・調整ノブを上へ

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10~×(対物レンズ)・・・調整ノブを下へ

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市販LEDライトの使用例
写真のようなLEDライトを使用すると自然な色の写真が撮りやすいです。
マグネット付きのフレキシブルライトを鉄のブックエンドに付けて使用しています。
20×(対物)くらいまでなら、LEDが一つ付いているタイプで十分です。高倍率では、LEDが3つのタイプが使いやすいです。
特にホワイトバランス調整のできないデジカメで撮影する場合には有効です。

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実際に撮影した花粉です。暗視野は、ライトの向きをずらしただけで、暗視野コンデンサは使っていません。また、青色のフィルターも未使用です。
フヨウの花粉
対物10×

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対物10×(暗視野)

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対物20×

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対物20×(暗視野)

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対物20×中心部のアップ

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対物20×中心部のアップ(暗視野)

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クジャクソウの花粉
対物10×

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対物10×(暗視野)

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対物20×

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対物40×

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対物40×中心部のアップ

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対物40×(内蔵光源使用、ホワイトバランス設定なし)

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対物40×(内蔵光源使用、ホワイトバランス設定なしソフトで補正)
あとから画像補正ソフトで補正しましたが強い補正が必要な場合は難しいです。

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MT-B型顕微鏡の場合、付属の青フィルター2枚、光源電圧3Vで、デイライトタイプフィルムの色温度に合わせた設計になっているそうです。
また、CoolPix990では、ホワイトバランスを調整しておけば(プレパラート上の何も無い部分を白と認識させておく)、より自然な色にすることができます。このページ以外の特に断りの無い花粉の写真は、青色フィルターと内蔵のランプを使い、(アバウトですが)デジカメのホワイトバランスを調整しておき、あとで少しだけソフトで色を補正しています。

空、ヤブラン、ヒガンバナと昨日の続き

Richo Caplio R6で撮影した空と花です。
シュウメイギクとゲンノショウコは、昨日α Sweet DEGITAL(90mmマクロ)でも撮影してありますので、比較してみて下さい。
R6の方が被写界深度が深い分、周りの葉などまでわかりやすいと思います。図鑑用の写真には、R6の方が適していそうですね。あと、マクロなのにズームできるところは、「全体を写したいけど、後ろに下がれない」という時に重宝します。
一方、90mmマクロ(35mm判カメラ換算では135mm相当になります)は、背景がボケてくれるので花(の一部)だけをメインに写したい場合に向いています。

参考に・・・:レンズの焦点距離とボケの関係(カタログの見方)
デジカメを選ぶ時に光学ズーム比(R6は7.1倍)が目に付きますが、2つの焦点距離にも目を向けると、自分の目的に合ったデジカメが選びをしやすくなると思います。
まず、R6のレンズの仕様を見ると
焦点距離: 4.6mm~33mm(35mm判カメラ換算 28~200mm相当)、
明るさ(F値、絞り):F3.3(広角)-5.2(望遠) となっています。
写せる範囲(画角)は、35mm判カメラ換算値の焦点距離が目安になりますが、前景や背景のボケ量は実際の焦点距離(R6の場合は、4.6~33mm)が(CCDの面積が小さい分ボケの面積も拡大されることも考慮しないといけませんが一応の)目安になります。
また、同じ焦点距離ならF値(絞りの値)が小さい方がボケますが、R6の場合は絞りを自由にコントロールできません。絞りをコントロールできるコンデジもありますが、いずれにせよボケの調整幅が小さいことが一眼との大きな違いのひとつです。
逆に言うとコンデジは、近くから遠くまでピントの合った写真を撮るのには向いています(特に広角側。R6のテレ端マクロでは背景が適度にボケてくれることが人気のひとつです。)。

1.空
今日も30℃を越えましたが、空気が爽やかになり、空も秋らしくなってきました。

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2.ヤブラン(薮蘭)
ユリ科ヤブラン属

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3.ヒガンバナ(彼岸花)
ヒガンバナ科ヒガンバナ属、別名:マンジュシャゲ(曼珠沙華)
白花と赤花の彼岸花です。藪の中で近づけなかったので少し離れた位置からの撮影になりました。

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4.シュウメイギク
昨日撮影した花です。R6で撮り直してみました。

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5.ゲンノショウコ
これも昨日撮影した花です。葉を含めた全体の様子です。

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RICOH Caplio R7:28~200mm相当の広角高倍率ズーム機です。R7(R6)は、望遠マクロである程度ボケを楽しめる、広角が使える、高倍率なズーム比の割りに小さいボディが特徴だと思います。R6に比べて高感度時のノイズが少なくなっているようです。

ルコウソウ、フヨウ、ゲンノショウコ、シュウメイギク、ツユクサ

1.ルコウソウ(縷紅草)
ヒルガオ科ルコウソウ属
五角形の花を持つつる性の植物です。花は、白の他、赤や橙色があるそうです。

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2.フヨウ(芙蓉)
アオイ科フヨウ属
ピンクのとても大きな花です。

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3.ゲンノショウコ(現の証拠)
フウロソウ科 フウロソウ属
花は、直径10~15mmほどの小さな花で、道端などでも見かけると思います。
実の形がみこしに似ていることからミコシグサ(御輿草)とも呼ばれます。
腹痛の効用があり、すぐに効くことから「現の証拠」という変わった名前がついたそうです。

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4.シュウメイギク(秋明菊)
キンポウゲ科アネモネ属
ピンクの花のシュウメイギクです。花の大きさは6cmくらいです。白色の花もあります。
京都市の貴船に多く見られることから貴船菊(キブネギク、キセンギク)の別名があります。

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追加)以下の4枚は、9.26に撮影した写真です。同じレンズで撮りましたが、ストロボを使いました。シャッターを切ろうとすると風で揺れて・・・・。1/125s手持ちです。
花びらに見えるのは、実は萼(がく)だそうです。

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5.ツユクサ(露草)
ツユクサ科ツユクサ属

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※ 以上 α Seet DIGITAL+タムロンAF 90mm MACRO(モデル272E)で撮影しました。

千代田顕微鏡 MT-B型

花粉の写真に使用している顕微鏡を紹介します。
普段は主に犬の健康管理(スメア検査、検便)のために使用しています。
私自身は顕微鏡について、あまり詳しくないので使い方や表記に間違えがあるかもしれません。(間違えがあったらゴメンなさい。)
この顕微鏡は、2年ほど前にオークションで入手した物です。
対物1~60倍(10倍の接眼レンズとの組み合わせで10~600倍)で7連レボルバであるところが使いやすそうで購入しました。
1974年~発売(千代田顕微鏡の歴史より)の古い顕微鏡ですが、状態も良く大変気に入っています。
●全体の様子
かなり重量のあるしっかりした作りですが、照明が内蔵されていてコンパクトに収まっています。(コンパクトと言っても往年の名機NikonS型顕微鏡よりひと回り大きいサイズです。)

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●対物レンズ(レボルバ)
×1、×2、×4、×10、×20、×40、×60の7つのPLAN対物レンズが付いています。
×1は、超広視野の10倍接眼レンズとの組み合わせで、18mm角カバーグラスのほぼ全体が視野に収まります。最高倍率は油浸×100が一般的ですが、油浸でない×60は使いやすく私好みです。

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●ランプハウス
照明ランプは30Wのハロゲンランプが内蔵されています。顕微鏡本体の中に収まっているためコンパクトです。形が特殊なため互換のある替球が手に入らないのが難です。

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●接眼レンズ
接眼部は、三眼です。眼視用(双眼部分)は、超広視野対応で経の太いタイプです。超広視野の双眼タイプは、長時間の観察でも疲れにくく快適です。
写真用の1本は、鏡筒の径が24.5mmです。ビクセンの顕微鏡アダプタが使えるので便利です。

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●デジカメの装着
ビクセンの顕微鏡アダプタを使用してデジカメ(Nikon CoolPix990)を装着した様子です。
顕微鏡写真用の接眼レンズは5倍タイプですが、CoolPix990を光学ズームの望遠域にした時に、丸くケラレル部分がちょうど無くなります。

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●コンデンサ
コンデンサの開口数は0.9。広域対応のための少し変わった形のコンデンサだと思います。
大きなレンズが使われていていかにも高そうです。
大小2つのコンデンサを組み合わせて使うことで、低倍率~高倍率まで安定した光を供給してくれます。

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●コンデンサ調整用のハンドル
ひょんな縁で知り合った方からの頂き物です。
コンデンサの装着ネジ及びコンデンサの芯だし調整ネジが小さくステージとの距離が近いため、コンデンサの取り外しや芯だし時にネジを回すと指が痛くなる事が不便でした。
そんな時、偶然このハンドルを譲っていただきまして、操作が非常に楽になりました。
譲っていただいた方は、このMT-B型の顕微鏡開発に携わっていた方で千代田顕微鏡に関するホームページも作られています。  【千代田顕微鏡の歴史】のページ(リンク切れ)

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●収納箱
桐製の収納箱です。自作です。

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●甘草(カンゾウ)の花粉
昔、内蔵ランプの変わりにLEDライト(千円程度のボタン電池式、フレキシブルタイプ)を使用して撮影した物です。
顕微鏡のコンデンサを外してコンデンサのあたりからプレパラートに向けています。
コンデンサを使わない分、解像度で劣るかもしれませんが、光源が白色に近いのでデジカメ撮影には有効だと思います。写真は、原画を縮小していますが色補正はしていません。
対物20倍、接眼5倍、CoolPix990で撮影。2枚目は、照明を少しずらしているため、暗視野照明風に写っています。3枚目は、花です。(2005年7月頃に撮影したものです。)

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マツバランの胞子とレンゲショウマの花粉~顕微鏡写真

1.マツバラン(松葉蘭)の胞子
かなりピンボケでしたが、外観の写真から。

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アップしたところです。黄色の濃い部分が熟した胞子のうです。1枚目の写真の右奥の辺りのアップです。

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熟す前の胞子のうです。ちなみに上の2枚は、一眼(αSweetD)で撮影しましたが、この写真はコンデジ(DimageZ3)で撮影しました。ピントの合う範囲が広いのがコンパクト機の特徴で気楽にマクロ撮影が出来ます。

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続いて顕微鏡写真です。
20倍(対物レンズの倍率です)

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40倍

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60倍

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60倍アップ

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60倍

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2.レンゲショウマ(蓮華升麻)の花粉
レンゲショウマの花粉です。花の様子は、8日のブログを見てください。
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60倍アップ

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顕微鏡フル活用術イラストレイテッド―基礎から応用まで (細胞工学別冊―目で見る実験ノートシリーズ)